合格率4.5%!国内唯一のコンサルタント資格「中小企業診断士」は転職に役立つか?|就職セブン

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2015年5月14日
合格率4.5%!国内唯一のコンサルタント資格「中小企業診断士」は転職に役立つか?

自己啓発として人気が高い資格「中小企業診断士」。転職のために取得を目指す人も多いです。しかし、この資格を取得しても「独占業務がない」という理由で批判的な意見が挙がることもしばしば。実際のところ、この資格はどれほど転職に活用できるのでしょうか?

新米しゃちょーライター
  

国内唯一のコンサルタント資格

中小企業診断士は、「中小企業支援法」に基づく国家資格(国家登録資格)です。「中小企業支援法」には、「中小企業支援事業の実施に関する基準を定める省令」で、経営の診断または経営に関する助言を行うものとして中小企業診断士が指定されています。

ビジネス1

中小企業診断士の業務は、中小企業の経営戦略の策定や、行政や金融機関などをつなぐ役割も担います。

非常に広範囲の業務を行う中小企業診断士ですが、皆さんが想像しているようなコンサルタントになるのに、資格取得がどの程度有利に働くのでしょうか?

中小企業診断士試験の概要

まずは、中小企業診断士になるための試験の概要を説明します。中小企業診断士試験は、1次試験と2次試験の2段階になっています。1次試験は2日間(週末の土日)の筆記テストです。

受験教科

1.経済学・経済政策
2.財務・会計
3.企業経営理論
4.運営管理
5.経営法務
6.経営情報システム
7.中小企業経営・中小企業政策

受験教科が実に7つもあり、かなり幅広い範囲を対象としています。

私は過去に受験した経験があるのですが、週末の2日間で一気に7教科を受験するため、疲労感は非常に大きいものでした。しかも、全教科合格が絶対条件となっています。少しの気の緩みも許されません。

また、7教科もあるため、得意教科と不得意教科というものもあります。私は企業経営理論が得意で勉強するのも楽しかったのですが、経済学が苦手で、実務に到底役立ちそうもない理論とグラフを勉強する時間はなかなか苦痛だったことを記憶しています。

そういった1次試験なのですが、1次試験は筆記のテストのため、受験勉強をすれば誰でも合格できます。現場での実務経験がない学生でも、試験勉強をすれば1次試験はクリアできるレベルです。
問題は、その後・・・。

中小企業診断士試験の大変なところは、次の2次試験なのです。2次試験では、より実践的な筆記試験と口述試験を行います。

この2次試験が本当に難しい。実際の企業事例をもとに、実際に診断して解答するという試験なのです。知識の実践的な応用力が必要とされる試験だと言えます。

合格率わずか4~5%の超難関試験

平成25年度の1次試験受験者数は20,005名。そして、最終的な2次試験合格者数が910名。合格率4.5%という狭き門です。他の様々な資格と比較しても、かなり厳しい合格率といえます。

勉強1

2次試験免除!中小企業大学校という選択肢

そんな合格率が非常に低い中小企業診断士の2次試験ですが、実は免除で中小企業診断士になる方法があります。それが、「1次試験合格後にスクールに通う」という方法です。
2次試験免除を受けるためには、「中小企業大学校」の中小企業診断士養成課程に通います。これを終了すると、診断士の資格が得られるのです。

ですが、この方法が楽かというと、まったくそうではありません。ほぼ半年間、学校の寮に泊り込んで、フルタイムで授業を受けないといけないのです。当然学費もかかります。
コンサルタントを目指すからまずは診断士でも・・・という軽い考えではなかなか取れない資格、それが中小企業診断士です。

転職における中小企業診断士の有効性

さて、ここからが本題です。中小企業診断士という資格は、転職にどのくらい役に立つものなのでしょうか?

まず言えることは、取得に時間と労力がかかる資格ですから、持っているというだけで「ある程度目標を立ててしっかりとやることのできる人材」というアピールになります。

また、会計や経営計画の策定、その他全般的な知識が備わっているので、戦力としても期待してもらえるでしょう。

そこからさらに、転職で大企業向けのコンサルティング会社を目指すのか?中小企業向けコンサルティング会社を目指すのか?で大きく分かれるところです。

グラフ1

大企業向けコンサルティング会社への転職

大企業向けと中小企業向けのコンサルティングの違いはいろいろありますが、一番の違いは「コンサルタントが提供する知識の性質」にあると言えます。

大企業においては、会計からサプライチェーンまで、企業の仕組みが一通り出来上がっています。ある程度の仕組みがあって動いているわけです。「すでに仕組みがあるところに、さらに競合他社より競争力をつけたい」というニーズでコンサルティングを依頼してくるのが大企業です。

このような場合、「すでに出来ているがもっと効率的に業務を行いたい」のを助けるのがコンサルタントの役目になってきます。

そのため特定の業務や領域に対して、より深い専門性を持ち、最先端のやり方やノウハウなどを注入して解決するというのが、基本的な大企業向けコンサルティングの方向性です。

また近年は、コンサルティング会社に転職するのではなく大企業に転職し、その中で取得した中小企業診断士の資格を活かす「企業内診断士」という形で資格を活かしている人も増えてきています。

企業内の仕事で診断士のMBA的知識、提案力、論理的思考を活用し、昇格に生かしています。企業内で働く中小企業診断士のうち、なんと約半分の人が管理職という重要な職務を担っているというデータもあります。

このように、中小企業診断士を取得するという事は、社外のみならず社内からも高く評価され、重要な業務や責任の重い業務を任せられるようになります。

中小企業向けコンサルティング会社への転職

中小企業向けのコンサルティングでは、広く浅くの知識がまずは必要です。幅広い分野で知識が求められるため、診断士の知識は十分活用できるといえます。

また、中小企業向けのコンサルティング会社の採用では、一人で仕事を進められる能力が重要な要素にもなります。なぜなら、一人のコンサルタントが複数の顧問先を指導する形をとるからです。

また、中小企業向けのコンサルティングは、大企業向けのコンサルティングのように「パートナーが仕事をとってきて若いコンサルタントはまずはそれをこなす」という構図ではありません。

ビジネスマン1

自分の顧客は自分で開拓する必要があり、コンサルタント一人で営業からコンサルティング実施まで完結できるような力が必要です。そういった観点から、中小企業診断士の資格とプラスして、営業の経験や企画提案の経験があると転職で有利に働くでしょう。

かならず上記の力を持っているかどうかが問われるので、上記の力がズバ抜けていれば、経営的な知識は多少弱くても採用に至っているケースも少なくありません。

資格+実績と経験で効果発揮

資格の勉強をしたことで得られる知識は、自分の仕事や人生で生かすことができることを理解して頂けたと思います。診断士の資格の勉強をする過程で学べることは非常に多く、診断士で得た知識を使って、より高いレベルの能力を発揮し活躍できる場面は沢山あります。

転職に有利か不利かは、今までの職歴や実績による部分も大いにあります。これまでに十分な実務経験を積んだ人が転職に利用する、または企業内の昇格に利用するにはとても有利な資格であると言えます。

そのため、転職を考えているのなら、まずは現在の会社で働きながら中小企業診断士の資格を取得し、現在の職場である程度の実績を積み重ねておくのが良いでしょう。

中小企業診断士の活躍の場は多岐にわたります。大企業やコンサルタント会社以外の場所でもその威力を発揮できるのが中小企業診断士の強みなのです。

著者:カズしゃちょー

新米しゃちょーライター
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広告代理店に勤めていた経験を活かして独立・起業。知的好奇心が豊富で、様々なジャンルを執筆中。「おもしろきこともなき世をおもしろく」をモットーに、日々挑戦と成長を繰り返しております。